公的年金シミュレーションはなぜ重要なのか？

定年退職後の生活を支える公的年金。

それは、現役時代に納めてきた保険料に応じて、国から支給される老齢年金のことです。

日本の公的年金制度は、主に全国民共通の国民年金（1階部分）と、会社員や公務員が加入する厚生年金（2階部分）の2階建てとなっています。

自分が将来いくら年金を受け取れるのかをシミュレーションすることは、以下の点で非常に重要です。

老後資金計画の第一歩

年金収入がいくら見込めるかが分かれば、不足する金額を把握できます。

• 貯蓄や資産運用
• あるいは働く期間

など、具体的な老後資金計画を立てやすくなります。

将来への漠然とした不安を解消

不確かなことへの不安は大きいものです。

シミュレーションで具体的な数字を知ることで、「老後、いくらもらえるんだろう…？」という漠然とした不安を和らぎます。

「〇円もらえる見込みだから、あと〇円準備しよう」という安心や目標に繋がります。

働き方や受け取り方を考えるきっかけに

シミュレーション結果を見て、

• 今後も働く期間を長くする
• 繰り下げ受給（年金の受け取り開始を遅らせて月々の金額を増やすこと）を検討するか

など、定年後の働き方や年金の受け取り方について具体的に考えるきっかけになります。

公的年金制度への理解を深める

シミュレーションの過程で、

• 年金がどのように計算されるのか
• どんな要素が受給額に影響するのか

を学ぶことができ、公的年金制度への理解が深まります。

あなた自身の年金記録で正確にシミュレーションする公式ツール

公的年金のシミュレーション方法はいくつかありますが、あなたのこれまでの年金加入記録に基づいた、最も正確で信頼できるシミュレーションができるのは、以下の公式ツールです。

「ねんきんネット」

インターネットを通じて、あなたの年金記録をいつでも確認できます。

将来の年金見込み額をシミュレーションしたりできる、日本年金機構が提供するサービスです。

これまでの加入期間や保険料納付額が正確に反映されているため、現実的な年金見込み額を知ることができます。

将来の働き方（今の会社で働き続けた場合、転職した場合、自営業になった場合など）

年金の受け取り開始年齢（繰り上げ繰り下げ受給シミュレーション）を変えた場合の受給額の変化を比較シミュレーションできるのが最大のメリットです。

「ねんきん定期便」

日本年金機構から毎年誕生月に送られてくるハガキまたはA4形式の通知です。

これまでの年金加入期間や保険料納付額などが記載されています。

• 50歳未満の方にはこれまでの加入実績に応じた年金の見込み額。
• 50歳以上の方には現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定した場合の年金見込み額。

が記載されています。

ハガキに記載された二次元コードやアクセスキーを使えば、「ねんきんネット」に簡単に登録・ログインできます。

ただし、ねんきん定期便に記載されている見込み額はあくまで一定の条件での計算です。

ねんきんネットの方がより詳細なシミュレーションが可能です。

公的年金シミュレーションを行うなら、「ねんきんネット」が最もおすすめです。

次に、その使い方を詳しく見ていきましょう。

「ねんきんネット」で将来の年金見込み額をシミュレーションする手順

「ねんきんネット」を利用するには、まずユーザー登録が必要です。

既に登録済みの方はログインから始めてください。

ステップ1：ねんきんネットに登録・ログインする

1. ユーザー登録:
   • 「ねんきん定期便」に記載されているアクセスキーを使って登録する方法が最も簡単です。アクセスキーは発行から3ヶ月以内のみ有効なので注意しましょう。
   • アクセスキーがない場合は、日本年金機構のウェブサイトからユーザーIDの申請を行うことができます。ユーザーIDは郵送で届きます。
2. ログイン:
   • ユーザーIDとパスワードを使って、ねんきんネットのサイトにログインします。

ステップ2：「年金見込み額試算」ツールを使う

ログイン後、画面上に表示されるメニューの中から「年金見込み額試算」またはそれに類する項目を選択します。

試算ツールの種類を選びます。

一般的には「かんたん試算」と「詳細な条件で試算」があります。

様々なケースを試したい場合は「詳細な条件で試算」を選びましょう。

「詳細な条件で試算」では、以下の項目などを自分で設定・変更してシミュレーションできます。

現在の加入状況: ねんきんネットに登録されている最新の年金記録が反映されています。

今後の働き方:

今の勤務先に60歳/65歳まで勤め続けた場合

今後、転職や退職をして国民年金加入者になった場合

自営業者になった場合

専業主婦（夫）になった場合

今後の収入（年収や月収）を変えた場合（厚生年金 シミュレーションに影響）

年金の受け取り開始年齢:

原則の65歳から受け取り始める場合

60歳から繰り上げ受給した場合（月々の金額は減る）

66歳以降に繰り下げ受給した場合（月々の金額は増える）

設定した条件に基づいてシミュレーションを実行します。

ステップ3：シミュレーション結果を確認する

試算結果として、設定した受け取り開始年齢ごとの年金の見込み額（年額、月額）が表示されます。

• 国民年金（老齢基礎年金）の見込み額
• 厚生年金（老齢厚生年金）の見込み額
• 合計額

これらの金額は、あくまで「設定した条件が将来にわたって続いたと仮定した場合」の見込み額であることを理解しておきましょう。

シミュレーション結果をどう読み解き、どう活かすか

ねんきんネットで将来の年金見込み額が分かったら、その数字を単に見るだけでなく、あなたのライフプランにどう活かせるかを考えましょう。

結果の読み解き方

表示された金額は、税金や社会保険料（介護保険料、国民健康保険料など）が差し引かれる前の「額面」です。

実際に手元に残る金額（手取り）は、額面よりも少なくなります。

シミュレーションはあくまで現時点での制度に基づいています。

将来、制度改正が行われる可能性はゼロではありません。

これまでの年金加入記録に漏れや誤りがあると感じる場合は、年金事務所に確認しましょう。

結果をライフプランに活かす

老後に必要となる生活費を試算する

総務省の家計調査などを参考に、ご自身の理想とする老後生活には毎月（毎年）いくら必要なのかを具体的に計算してみましょう。

年金見込み額と比較し、不足額を把握する

必要な生活費から年金見込み額を差し引けば、毎月（毎年）どれくらい不足するかの目安が分かります。

不足額を補うための「年金対策」を検討・実行する

貯蓄・資産運用: 計画的に貯蓄を進めたり、iDeCo（個人型確定拠出年金）やNISA（少額投資非課税制度）といった税制優遇のある制度を活用した資産運用を検討する。確定拠出年金 シミュレーションも別途行うと良いでしょう。

働き方を調整: 定年後も働く期間を延ばしたり、パートやアルバイト、フリーランスとして収入を得る（定年後 仕事、定年後 働き方）。

繰り下げ受給を検討: 65歳以降も働く予定がある、または当面の生活資金に余裕がある場合は、年金の受け取り開始を遅らせる繰り下げ受給を検討する（月々の受給額が最大1.84倍になります）。繰り下げ受給 シミュレーションで具体的な増額分を確認しましょう。

支出の見直し: 保険や通信費など、固定費を中心に無駄な支出がないか見直す。

リバースモーゲージなど資産活用: 持ち家がある場合、自宅を担保に資金を借り入れるリバースモーゲージなども選択肢の一つ。

年金に関するよくある疑問

• Q: ねんきんネットのシミュレーションはどれくらい正確？
  • A: あなた自身の年金記録に基づいているため、現時点での情報としては最も正確です。ただし、将来の収入や制度改正、物価変動などによっては実際の受給額と差が出る可能性があります。
• Q: ねんきん定期便とねんきんネットで金額が違うのはなぜ？
  • A: ねんきん定期便は一定の仮定（例えば50歳以上なら60歳まで今のペースで加入を続けるなど）で計算されていますが、ねんきんネットはあなたの希望する様々な条件（働き方、収入、受給開始年齢など）で試算できるため、結果が変わります。ねんきんネットの方がより詳細なシミュレーションが可能です。
• Q: 年金記録に漏れがある気がするけど？
  • A: ねんきんネットで年金記録の詳細を確認できます。もし漏れや誤りを見つけた場合は、お近くの年金事務所に相談してください。
• Q: 繰り上げ受給と繰り下げ受給、どっちがお得？
  • A: 一概にどちらが得とは言えません。寿命や他の収入源、健康状態などによって異なります。繰り上げ 繰り下げ 受給 シミュレーションで具体的な金額差を確認し、ご自身の状況に合わせて慎重に判断することが重要です。

「知る」ことから始まる、将来への安心

公的年金 シミュレーションは、明るいセカンドライフを送るための第一歩です。

特に、あなたの正確な年金記録に基づいて計算できるねんきんネットは、ぜひ活用したいツールです。

「ねんきんネット シミュレーション」で将来 もらえる年金額の見込み額を知っておきましょう。

それを元に具体的な年金 対策を立てることで、「老後、いくらもらえるんだろう…」という漠然とした不安は、「よし、この計画でいこう！」という安心感と目標に変わります。

難しそう、と敬遠せずに、まずはねんきん定期便を手元に準備しましょう。

ねんきんネットへの登録から始めてみましょう。

あなたの将来への準備が、この記事を読むことからスムーズに進むことを願っています。